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南日本新聞社記事(2003年3月14日付) |
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2003/03/14 |
■住民参加、その後
昨秋できた霧島町保健福祉センターの授乳室にはベッドでなく、腰の高さの台に畳が1枚置いてある。「みんな初めは面食らうみたい。でも実際使ってみると、この方がいいって言ってくれますよ」。“畳式”を提案した修行やよいさん(36)は、4人を子育て中のお母さんだ。
施設を設計する際、町は高齢者や子育て中の母親、介護従事者ら実際に利用する人々による検討委員会をつくり、要望を聞いた。母親代表で委員に加わった修行さんは仲間のお母さんたちと相談しながら、畳式の授乳室や床暖房のプレイルームなど「使う側ならでは」のアイデアを提案。ほとんどが実現した。ほかの委員もそれぞれ周囲の声をくみ上げて意見を出し、さまざまな形で生かされた。
オープンしてからも修行さんたちは、備品の絵本に貸し出し用の分類ラベルを張ったり、おもちゃの箱に写真を付けて片づけやすくしたりと自主的に運営を手伝っている。「自分たちで意見を出した以上、責任がある。最後までしっかりやりたい」と話す。
多くの自治体が「住民主体」「住民参加」を掲げるが、施策のほとんどは行政内部で決められる。その結果、例えば住民の意向とかけ離れた施設ができ、利用不振に悩む例もある。事業計画策定に素人の住民を参加させれば、時間や労力は余計にかかるだろう。しかしそのことで住民が「自分たちの意思で決めた」という意識を持ち、後々まで責任や愛着を感じるなら、効果は大きいと思う。 |
(国分支社・児島佳代子) |
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